Charles Mack Band


最近、シカゴ在住のベーシスト、チャールズ・マックから
ついに彼のバンドのアルバムが今春リリースされ、
「気分は最高!」という嬉しいメールをいただいた。

メールには発売されたアルバム「Next Generation Blues」
のサイト・アドレスや彼のオフィシャル・サイト・アドレスも
添付されていたので、以下ご紹介したいと思う。

「Next Generation Blues」のサイト→ http://www.cdbaby.com/cd/charlesmack
Charles Mack Band のオフィシャル・サイト→ http://www.charlesmack.com/

アルバムに収録されている曲は全部で11曲。
1曲につきそれぞれ2分間も視聴できるので
曲目のところをクリックして是非皆様にも聴いていただきたい。
アルバムのコンセプトはタイトルからもわかるように「次世代のブルース」。
根っこはブルースだが、ロックやファンク、ソウルなど
様々な音楽ジャンルをブレンドさせながら
新しいスタイルのブルースを表現するという試みがなされている。
ヒップ・ホップが流行っている昨今、
ブルースといえば過去の遺物という印象が強いが、
サウンドを現代風にアレンジすれば若い世代の人々にも
十分受け入れてもらえるはずだ。

アルバムの中で私が好きな曲は、5番目の『Just Wanna』と
8番目の『Cry No More』、11番目の『Just Another Dream』である。

「日本のリスナーにメッセージがあれば教えてください。」
とチャールズにメールしたら、彼から以下のような返事がきた。
「・・・Yes, thank you.
I wanted to let my Japanese listeners know that I appreciate their support
and wanted to let them know that my CD will be available at
http://www.applejam-mojoroux.com/applejam/menu.html
It is a music store in Japan called Apple Jam .
I am trying to come back to Japan with my group,
I am currently working on finding the right promoter to bring me there.
:) Thank you again Kaori for all of your help.
Please let Japanese fans know that they should contact the store
about the CD and reserve a copy. The store will not be getting a lot in.      Charles Mack」

「日本のアップル・ジャムというミュージック・ストアで近いうちに
自分のCDが買えるようになるので興味のある方は添付したアドレスを開いて、
是非コンタクトをとってみてください。
自分のバンドで日本に行けるよう、現在しかるべき
プロモーターを探している最中です。応援よろしくお願いします。」

一部の曲を除きほとんどチャールズが作詞・作曲を手がけ、
全てリード・ヴォーカルをとって歌っているそうだ。
ベースを弾きながら歌を歌うというのは非常に難しい。
彼は長い間ビッグ・アーティスト達のバックでベースを弾いてきたが
どうしても自分の歌が歌いたくなり、
今回思い切ってバンドを発足させたようだ。

ミュージシャンが自己を最大限表現できるのは
このシンガー・ソング・ライターの道かもしれない。
自分の声と言葉、そしてメロディーで内面を表現し
楽器がそれに応えるというスタイルは、
音楽を志したものなら一度はやってみたいと思う夢のようなもの。
私もバックで楽器を演奏する立場だったので、チャールズの気持ちはよくわかる。

ベーシストのチャールズ・マックと知り合ったのは、
昨年の8月11日にジェームス・コットンのライブを観に、
Blue Note Tokyoに行った時のこと。

ジェームス・コットンは、マディ・ウォーターズのバックで
演奏していた著名なブルース・ハーピストで
その後マディ・バンドを脱退してソロになり、
自身のバンドを結成してブルース界の第一線で活躍してきた。
1996年にはグラミー賞も受賞している。

コットンは1935年7月1日、ミシシッピ州のチューニカで生まれ、
今年70歳になるが今なお現役でワールド・ツアーを行うブルース界の長老だ。
しかし、近年声帯を痛めてしまいほとんど声が出ない状態となってしまった。
彼独特のファンキーな歌声が聴けないのは残念だったが、
ハーモニカの腕前は衰えていないと信じて
私は一人でジェームス・コットンのライヴを観に行くことにした。

当日は午後7時からファースト・ショー、
セカンド・ショーは午後9時半からというスケジュール。
私はファースト・ショーを申し込んでいたので
6時過ぎにBlue Noteに到着し、飲み物を注文した後
レスト・ルームに行くために席を立った。
多分それは6時半ぐらいだったと思う。

レスト・ルームから出た瞬間、たまたま目の前に男性がいて、
それがチャールズ・マックだった。
シャイな感じで「・・・シカゴから来たチャールズ・マックです。ベーシストです。」と。
私はビックリして「ベーシスト? シカゴ?」と聞き返しながら
「私もベースを弾くし、4ヶ月前にはシカゴに行ってきたんですよ!」
とシカゴでの夢のような話を少しだけ彼に話した。

シカゴに住んでいるギタリスト、菊田俊介さんの話もした。
そうしたらチャールズは、
「シュンは友達だよ!シュンと僕の兄は一緒にバンドをやっている。
僕はジェームス・コットン・バンドのベーシストで、兄はドラマー。
今日一緒にプレイするんだ。」と教えてくれた。

世間は狭いというか、あまりにも偶然にシカゴの話で盛り上がれたので
私は嬉しくなって彼の音楽的嗜好についていくつか質問をした。
「ベーシストでは誰が一番お気に入り?」
「・・・ジャコ・パストリアスだよ!」
「ブルース・シンガーでは?」
「・・・ロバート・ジョンソンやマディ・ウォーターズ。数え切れないな・・・
僕はブルース、ジャズ、ロック、ソウル、ヒップ・ホップなどあらゆるジャンルの
音楽を聴くし、ベースもそれに合わせて弾くことができる。」
とチャールズは答えた。
やっぱりプロは違うなと感心していたら、開演10分前になってしまったので
また後でという約束をしてお互いにその場を離れた。

初めて生で見るジェームス・コットンはアロハ・シャツ姿のラフな格好をしており、
首からタオルをかけてにこやかに演奏をする。
マディのバックにいた頃、ボスはメンバー全員にスーツにネクタイというスタイルを
強要していたため、コットンはそれが嫌で仕方なかったという
エピソードをチラッと思い出した。
彼の代わりにギタリストが歌を歌っていたが、
コットンのハープの威力は凄まじく、目をみはるものがあった。
最初は椅子に座って演奏していたコットンだが、
テンションが上がってくると立ち上がって汗だくになりながらハープを吹きまくる。

その隣りでチャールズはYAMAHAの6絃ベースを控えめな感じで弾いていた。
しかし、音色や指先のタッチからグルーヴ感が終始感じられ、
ノッてくると身体を横に揺らしながらダンスするようにベースを弾く。
この身体の動きがやっぱりブラックという感じで、
全身からリズムがほとばしっていた。

ベース・ソロではダイナミックなチョッパーはせず、
ジャコを思わせるようなフレーズを奏でる。
お兄さんであるマーク・マックは大柄で、ドラミングはパワフル。
演奏ににじみ出る雰囲気がそれぞれ異なっていた。

ショーが終わった後、チャールズにお願いしてベースを間近で見せてもらう。
「持ってみる?」と促されベースをすぐさま手渡してくれたが、
あまりにもボディが重く、4絃ベースをやっと弾いている私にとっては
6絃ベースなど弾くことはおろか、10分と抱えていることができないと実感。
チャールズは「明日シカゴに帰り、すぐカナダに行かなければならない・・・」
と言っていた。

あの時はまだ自分のバンドについて明確な話はしてくれなかったが
今回、念願のアルバム・リリースという情報をもらって
私も友人の一人として大いに喜んでいる。
これからコットンのヨーロッパ・ツアーを控え、
バック・メンバーとしてますます忙しくなると思うが
いつか、チャールズ・マック・バンドとして来日できるよう
彼の今後の活躍を祈りたい。

<05・5・13>





Charles Mack













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